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― 人生を最高に生きる 老子の言葉 ―
第52章
「柔を守るを強と曰う」── 人生を強く元気に生きぬく秘訣は、柔軟に生きること
今年も残すところ一ヶ月を切り、来る二〇十六年に思いを馳せる季節となりました。
年齢を重ねてくると、忘年会や、友人との酒の席でも、なにかと話題になるのは健康への不安や病気の話です。そして、そんな時、誰もが思うことは、来年こそは、健康で平和な年となってほしい、という切なる願いではないでしょうか。
そこで今月は、そんな願いを叶える心と体の養生の秘訣を、『老子』第52章からご紹介しましょう。
「柔を守るを強と曰う」、人生を強く元気に生きぬく秘訣は、柔軟に生きることですよ、という教えです。世界の名著、古代中国の書『老子』には、無為自然の哲学の中に、人生を健康に生涯現役で生きるための、養生の秘訣がたくさん書かれているのです。
一般によく知られている「柳に雪折れなし」という言葉も、老子の言葉に通じる意味を表しています。
立派な枝振りで凜として風にも揺らがない松の木よりも、さわさわと風に乗って軽やかに枝をゆらす柳のほうが、強風で折れることもなく、豪雪にあってもさらりと雪を払い落としてしまうので、雪の重みで折れる事もありません。つまり本当に強いのは、立派な松よりも柔軟な柳なのです。
高齢化社会に突入し、複雑なストレス社会を生きる私たち現代人にとって、生涯現役で楽しく元気に生きぬく秘訣は、ストレスをさらりと払い落とし、苦労を背負わない、柳のような柔軟な生き方を選択することなのです。
体についても、柔軟な柳になることが健康の秘訣です。皆さんもご存じのように、私たちの体は年齢とともにだんだん若いころの柔軟さを失い、堅くなっていきます。血管も老化し、血液の流れも悪くなり、さまざまな成人病の心配もでてきます。要注意ですね。
そしてまた、考え方が堅いと、体も硬くなりやすいのです。変化の激しい現代で、堅い体で硬直した物の見方をしていると、日常の些細なことが大きなストレスとなり、それが気の滞りを作り出してしまいます。幸せな老後のために息子夫婦と建てた二世帯住宅も、息子夫婦や孫に気を使い、息子や嫁のちょっとした言動にイライラしたら、楽しい毎日を送るどころか、逆に気の滞りで体調不良を作り出してしまうでしょう。
さあ、柔軟になりましょう。年齢を重ねたからこそ、心も体も柔軟に、大らかな気持ちで相手のことを受けいれてあげましょう。そしてただ我慢するのでなく、思うことを話し合ってみることで、互いの気が通じ合い、毎日が楽しくなることでしょう。
まず自分から柳になることこそが、生涯現役の幸せな人生を手にいれる秘訣なのです。さあ、来る二〇十六年を輝く幸運な年とするために、柔軟になって開運です!
※このページは、KKベストセラーズ発行の月刊誌「一個人」の連載記事
「人生を最高に生きる 老子の言葉(早島妙聴監修)」をご紹介しております。
この連載は、定本「老子道徳経の読み方 早島天來編」に更に詳しい解説を加え、
老子の言葉をわかりやすく伝えています。
更新日 2015年12月10日