TOP > 老子・荘子に学ぶ > 人生を最高に生きる 老子の言葉 > 大国は下流なり
― 人生を最高に生きる 老子の言葉 ―
第四部 我執をいかに捨てるか
第六十一章 大国は下流である
大圀者下流。
~大国は下流なり~
初夏の爽やかな緑が太陽に輝き、すべての植物が生き生きと成長する季節を迎えました。
間もなく来る梅雨の長雨も水の恵みと考えれば、感謝の気持ちが湧いて来ます。
今月の「老子」は第六十一章、「大国は下流なり」です。
この章は、読んで字の如く、大国というものは川の下流、つまりすべての川が注ぎ込む大海のようであると説いています。大きな力のある国には、自然に人や物が流れ込んで来るからです。
また大国が小国を傘下に入れたければ、大国のほうが謙虚に受け入れの姿勢を示せば、小さな国もそれを受けてさらに腰を低くして向かいますから、大国は勢力範囲を広げる事が出来て、また小国は大国の庇護を受けて国の安全を保ち、経済発展の道を行く事が出来、これこそ天地自然の陰陽調和の姿であるというのです。
これは国と国の政治の問題ばかりでなく、大企業と小企業、上司と部下、先生と生徒、親子の関係などに置き換えてみると、私達の身近な生き方への答えが見えてきます。
本当に人に信頼されて、社会や会社で上に立つ人というのは、常に人の話に耳を傾け、学ぶ心を忘れず、驚くほど、腰が低い謙虚な方が多いものです。
大勢の中にいても偉ぶらないし、受け入れも深いので、自然にその人の周りに人が集まるようになります。
まさに多くの川が流れ込む大海のような人、つまり徳のある人です。
私達も年を重ねる事で身に付く目に見えない大切な財産として、そんな大海のような徳を備える事が出来たら素敵ですね。
そうすれば、人生の最晩年まで豊かで楽しい生涯現役の日々を過ごす事が出来るでしょう。
さらに身近な例として親子の問題を考えてみましょう。
やはり親はいくつになっても子供に対して上から目線で話をしやすいものです。子供はもう十分大人になって社会で一人前に働き、家庭を持っているのに、親の目から見ると、なんだか頼り無く見えてしまうので、優しく話せば良いと思っていても、自分の子どに対してはつい言葉が強くなったりしがちですね。
ですが、そんな時、この老子の大海を思い出しましょう。そしてもう十分成長されたあなたの息子さんや娘さんを尊重して、一人前の大人として対等に言葉をかけてみる事です。
きっと自分を尊重してくれる、ご両親のそんな対応に、娘さんや息子さんも嬉しく思う事でしょう。 そして成長した子供から学ぶ事もたくさなるはずですし、いつの間にか子供の成長したものだと、頼もしく思えるのではないでしょうか。
成長した子供との、新しい親子関係は、生涯現役の人生を、さらに楽しくしてくれるはずです。
さあ、夏に向けて県境に広い大海の得、実践です!
※このページは、KKベストセラーズ発行の月刊誌「一個人」の連載記事
「人生を最高に生きる 老子の言葉(早島妙聴監修)」をご紹介しております。
この連載は、定本「老子道徳経の読み方 早島天來編」に更に詳しい解説を加え、
老子の言葉をわかりやすく伝えています。
<< 静はすべての根源
更新日 2018年5月10日