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曲なれば則ち全うす
~曲がっているのが良い
さあ、女性のための老子、今月は第22章「曲なれば則ち全うす」、つまり「曲がっているのがよい」というちょっと不思議なTAOのお話です。
私たちは子供の頃から、人生は横道にそれずに、真っ直ぐに道を踏み外さずに生きるのが、最良の生き方だと、教えられてきました。
ですが、老子の語る無為自然の宇宙の法則から見れば、ちょっと曲がっているのが自然で良いのです。
森に育つ木について考えてみれば、真っ直ぐすくすくと成長した木は、便利なので、すぐ切り倒されて人間に利用されてしまっています。
ところが、幹があちらへ曲がったり、こちらへ曲がったりして、節が多いような木は、材木になりにくいので、だれも見向きもしません。
そのために、老木になるまで切り倒されず、本来の木としての長い寿命を全うすることができるのです。
人の一生も同じです。
才能に溢れて、それを惜しみなく発揮することは、よいことのようですが、有用な人材として認められ、早くから出世競争の波にもまれ、多くの人に妬まれたり、利用されたりする人生は決して幸せとはいえません。
また、全く欠点のない、非の打ち所のないように見える人は、回りの人をかえって緊張させます。
なぜなら、本当に完璧な人など、世の中にはいないからです。
自分が曲がっている、欠けていることを、すなおに受け入れて、ありのままにいる人こそが、多くの人と協力し、支え合って、大きな仕事を完成させたり、幸せな家庭を築いたりできるのです。
人もちょっと曲がっているのがいいのです。
足りないところがあってこそ補ってくれる人が現れる、
そう知れば、少し曲がっていて、少し足りない自分のことを、もっと好きになれるのではないでしょうか。
※月刊誌「PHPスペシャル 9月号」掲載の連載コラム
「女性の老子~philosophy of taoism(早島妙聴監修)」より
更新日 2015年08月10日