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― 人生を最高に生きる 老子の言葉 ―
第三十三章
人を知る者は智 自ら知るものは明なり人間の知識は不完全であり、天地自然の法則「道」を認識することが明である
若葉が萌え、生命力あふれる季節となりました。この季節は、社会においても新しい変化の多い時期です。若いころは、多少の緊張はあっても、その変化や新しいことへの挑戦が楽しみであり、わくわくしたものですが、私たちは年を重ねると、だんだん頭も体も硬くなり、変化を嫌うようになる傾向があるようです。
変化のない日常、これこそが、人間の脳や心や体を老化させる元にもなるのではないでしょうか。
では、脳を使って新しいことを学ぶことが、おっくうになった時に、どうやって、今一度、私たちの心や体を若返らせ、やる気を蘇らせればよいのでしょうか。
そのことについて、世界的な名著『老子』は、すばらしい名言を残しています。
本当に見識の広い人というのは、人間のつくりあげた知識、つまり常識や法律や科学といったことだけにこだわることなく、人知の限界を知り、天地自然の法則「道」を認識し、自然の偉大さを理解している人だというのです。
私たちは、二本足歩行をすることにより、脳が発達し、文明を発展させてきましたが、『老子』に言わせれば、しょせん人間の到達する知識や知恵というのは不完全で、ものごとの表面をとらえたものが多いのです。
そんな人工的な知識より、自然に目を向け親しむことが、脳にも、体にも良い効果があることでしょう。
年を重ねてもなお、脳や体を活性化し、つねにみずみずしい柔軟な生きる力をもって、人生を生涯現役で生きたいと願う人にとって、自然はすばらしい先生なのです。
そして、青空に流れる雲、また日々生長する樹々の様子を観察すれば、この世の中は常に変化することで、自然の調和を保っていることがわかります。
また、都会のコンクリートの中に生きる樹々も、過酷な天候や環境の中で、自然に与えられた力を精いっぱい使って、太陽に向かって一心に生きていることがわかります。
私たち人間も、もう私はこんな年だから、なんて言っていられませんね。自然に学べです!
忙しい現代社会の中で走り疲れた私たちにとって、自然とともに、その季節の変化を感じ、観察し、楽しむことが、脳にも、心にも、体にも非常に良い影響を与えるのです。
そして、まさに季節は立春を迎え、樹々は葉を広げ、日に日に緑の色を濃く生長してゆくこの季節は、私たち人間も、さらに成長するチャンスです。これまで少し躊躇していた若返りへのチャレンジをはじめてみましょう。
そして、それも人と競争をせずに、まず自分らしく、無為自然に、無理のないところから一歩を始めてみようではないですか。
そうすれば、きっとあなたの人生に毎日少しずつ楽しい変化が見えてくることでしょう。
※このページは、KKベストセラーズ発行の月刊誌「一個人」の連載記事
「人生を最高に生きる 老子の言葉(早島妙聴監修)」をご紹介しております。
この連載は、定本「老子道徳経の読み方 早島天來編」に更に詳しい解説を加え、
老子の言葉をわかりやすく伝えています。
更新日 2016年4月10日