TOP > 女性の生き方 > 天の道に沿った善行とは
さあ今月は、善行とはどのような行いなのかについて、古代中国に書かれた世界的名著『老子』27章から、学んでみましょう。
善行に轍跡(てっせき)なし
~本当に良い行いとは、跡を残さない
私たちは、子供のころから自分が社会や人の役に立ち、必要とされている、と思えることで喜びや満足を感じることができます。
「あなたのおかげよ~」なんていわれると、つらい仕事も頑張ることができますし、時にはそれが生きる張り合いにさえなります。
ですから、人のためと思ってした良い行いが評価されたり、表彰されたりすると非常に喜び、また逆に誰も気付いてくれないと不満に思ったり、がっかりしたりします。
ですが、『老子』は教えています。
本当に天の道に沿った善行とは、誰がやったかわからない、跡さえ残さず、恩にもきせない自然の行動だというのです。
たとえば、母親が赤ちゃんを育てる時は、恩を感じてほしいなんて気持ちは全くありません。
熱を出せば寝ずに看病し、食欲がなければ心配して好きなものをつくる。
その母親の姿こそが、誰にも表彰されないけれど、最も無為自然の善行なのではないでしょうか。
私たちはつい、自分の人生について考える時、形として残っている華やかな表彰や社会での地位、財産など、他人に賞賛されるような形あるものを探してしまいがちですが、実は本当に大切な人生の価値は、そこにはないのです。
夫や子供や家族や仕事に向き合って、迷ったり悩んだりして、頑張って乗り越えてきた日々の積み重ねこそが、あなたの大切な人生の宝なのです。
そして貴女自身が、その宝に気付くことで、あなたには、明るい明日が開かれることでしょう。
さあ、胸をはって前進しましょう。あなたの明るい人生の旅は、まだ始まったばかりなのです。
※月刊誌「PHPスペシャル 11月号」掲載の連載コラム
「女性の老子~philosophy of taoism(早島妙聴監修)」より
更新日 2015年10月10日